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椿屋四重奏、熱視線8ライヴレポ!


椿屋四重奏、熱視線8「KICK START MY HEART」。東名阪の3ヵ所で行なわれたツアーの最終日となったSHIBUYA-AX。今回は、ギタリスト安高拓郎脱退後、初めてのライヴ・ツアーとなる。その新たな1歩を彼らは確かに見せてくれた。4人のバンドのグルーヴはまだまだ発展途上だったが、ひとつひとつのプレイにこめた意地と覚悟みたいなものを強く感じる。そう、こういう彼らを待っていた。ニュー・アルバム『孤独のカンパネラを鳴らせ』のインタビューでも中田が語っていたが、彼はここでロックへの憧れやこだわりみたいなものを捨てた。そして自分の生身をさらけだして音楽に向かい合ったのだ。そしてその姿こそがロックそのものだったのである。

それがこの日のライヴには強烈に現れていた。まさに3人になった自分の心を占ったような「不時着」で始まり、「いばらのみち」では主題歌となった昼ドラ『娼婦と淑女』で、藤堂賢吾役の石川伸一郎が役柄そのままに登場し、執事役をこなす。「一刹那」や「熱病」といった懐かしい楽曲も熱視線ならでは。「サイレンス」でのバンド感も圧巻。サポートで、中田とは小学校からの同級生である(3年9組だとか)サポートギターの手島大輔も、ジャズギタリストらしい独特の音で、印象に残るプレイを見せる。それに安心してか、ハンドマイクの中田もより自由に魅せる。「螺旋階段」でのお約束的なズッコケも、彼ららしく、そして余裕が感じられて良かった。そしてラストの「幻惑」は、何かを噛み締めながら、前に進もうとする<僕ら>の思いを強烈に感じさせるもので、胸を打った。

さあ、ツアー『BRIGHTEST DARKNESS』も始まる。全国のライヴハウスをまわり、10月16日の日比谷野外音楽堂、そしてファイナルはリベンジの中野サンプラザだ(4年前の大晦日に行なわれたカウントダウンライヴ<ナカノ・サンライズ>は、1階席の半分くらいしか埋まらなかったのだ)。さあ、逆襲が始まる。孤独を、闇を、その向こうに彼らにしか鳴らせない希望を、椿屋四重奏が見せた1日だった。(金光)

編集スタッフ

金光裕史

樋口靖幸

平林道子

竹内陽香

小高朋子