マリアンヌに恍惚。
2011.09.05 8月27日に渋谷クアトロで開催されたキノコホテルの単独実演会 〈サロン・ド・キノコ〜晩夏のヒメゴト〉。
今回のライヴは隅田川花火大会の開催日。支配人のマリアンヌ様曰く「花火大会は来年行きましょうね」とのことだったが、こちらも十分艶やかに咲き乱れていた。東京では2ヵ月以上ぶりの単独実演会ということもあり、言うまでもなくクアトロは満員。たくさんの胞子(キノコホテルのファンをこう呼ぶ)で埋め尽くされていた。
個人的には初のキノコ実演会だったのだが、もっと粛々と儀式めいた雰囲気なのかと思いきや全然違い、生演奏での楽器の鳴りの力強さに圧倒された。まさに”実演会”という風格! 大学生ノリのありがちなガールズバンドとは一線を画す、独特な甘さと毒があるのだ。大人のオンナ系の妖艶さを完璧に醸しつつ、飛び出す音は無邪気な爆音ベースラインからサイケデリックなオルガン演奏までと幅広い。リズム隊とギターの激しい絡みに、突然マリアンヌ様のセクシーヴォイスと荘厳なオルガンの音がかぶさって歌謡曲のムードになる手品のようなタイミングなど、本当にドキドキもの。ときおりふと思いついたように叩き殴られる支配人のキーボードの気まぐれな重低音がズシズシ腹にくる感じも、クセになりそう。
アルバム『マリアンヌの恍惚』収録曲たっぷりのセットリストで、キノコ初心者ながら完全にキノコワールドに呑み込まれていたが、本編の最後にはなんと、ヴァイオリンがゴージャスなソファに乗っかってしずしずと登場。やにわにマリアンヌ様が「マリアンヌの恍惚」で悲鳴のようなヴァイオリンソロを高速で奏で出す。これには胞子の方々も大喜び。
そしてもちろん支配人のドSっぷりは本日も絶好調。MCの合間、自分以外のメンバーの名前を呼ぶひとりの胞子の熱狂的な叫び声に「うるさいわ、黙って!」とピシャリ。それでも止まない声に、ついには「帰って!」とまで。しかしその後「支配人〜」と呼ばれると機嫌よく答えていましたが(笑)。憎めません。
この実演会中に告知された、11月3日東京キネマ倶楽部での単独実演会 〈サロン・ド・キノコ〜華麗なる獲物たち〉。レトロでゴージャスな内装や、らせん階段つきの舞台など、まさにキノコホテルの世界観にぴったりな会場! マリアンヌ様も「ずっとやりたかった会場なのよ」とのこと。ライヴ終了後からチケットを販売していたので見てみると、すごい行列! 販売開始後、ものの20分ほどの時点で早くも2F席は売り切れ、1F立ち見席のみの販売、とアナウンスが。
キノコホテル創業当初から開催を夢見ていたという場所で、美しい毒キノコたちがどんな幻想を見せてくれるのか、楽しみ。(花澤)