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INORANのライヴで感じた今。

4月30日、日本青年館。

この会場に来ると思い出すのは20年前、LUNA SEA初のホールワンマン。この日がメンバーにちゃんと会うのは初めてだったのだが、確か台風で開演が遅れ、おまけに楽屋挨拶に関係者全員えらく待たされ、終電がなくなり(笑)「俺はこんなめんどくさいバンドを担当するのか……」と途方に暮れたことを思い出す。わはははは(懐失笑)。

きっとこの会場に来た人の多くは、ここがそういう意味みたいなものを持つ場所だということを知っていただろう。そして何かを期待した人もいたかもしれない。しかしそんな思いも抱えた上で、INORANは素晴らしいライヴを観せてくれた。
東日本大震災の影響で、ツアー・ファイナルになるはずだったこの会場は、ツアーの始まりの場所となってしまった。しかし逆に、初日のはずだった仙台が、振替公演でファイナルとなったのは、何かがそうさせたような気がする。ツアーは続くので詳細は伏せるが、ベースにu;zo(元RIZE)、ドラムにタナカジュン、キーボードにおなじみのd-kikuを迎えたメンバーが鳴らす音は、削ぎ落として徹底的にシンプルにしたバンド・サウンド。それが爆音で響いてくるからとにかく圧倒される。インタビューでも語っていたけれど、LUNA SEAを“REBOOT”したことで、逆に“自分らしさ”みたいなものに拘る必要もなくなったのだろう。吹っ切れた自信がはっきり出ていた。彼が客席を煽る姿も、本当に自然だった。

20年前から見つけて、手にして、失って、必要なものに気づいて。それを繰り返して今、INORANは自分の心を鳴らせる場所を見つけたんだな、と思った。ツアーの振替公演は以下の通り続く。このバンドはもっと強いサウンドを生み出すようになるだろう。楽しみだ。(金光)

INORAN LIVE TOUR『Teardrop』振替公演
5/15 福岡DRUM Be-1
5/19 LIQUIDROOM
5/23 大阪BIG CAT
5/24 名古屋ボトムライン
5/30 仙台darwin

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編集スタッフ

金光裕史

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