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山中さわおとYOUNGSTER

SAWAO VS YOUNGSTER。
そのタイトル通り、the pillowsの山中さわおがソロで、若手バンドと対バンするライヴ。そのファイナルが6月30日、渋谷クラブクアトロで行なわれた。ただいつもと少し違うのは、さわおがある部分でリラックスしてこのライヴを楽しんでいる、ということ。ちょっとほろ酔い加減なのはもちろんのこと、彼が自分の出番でいきなり〈へーびがーだめー、うなぎもだめー〉とIntelのCMの出だしを唄い始めたことでもよくわかる(笑)。あまりにもシリアスな声に最初は〈……本気かも?〉と戸惑ってた会場も笑いに包まれ、いい空気に。
さてライヴ。LOVE LOVE LOVEもシュリスペイロフも、各々の魅力を出してて非常に良かった。個人的にもバンドに気づいてなかった魅力を知ることが出来た。何よりそこには、若手バンド同士が、絶対負けてらんねえ、と意識しあっている様子が強く感じられた。口にはしないが、ひとつひとつのプレイから火花が散っている。自分たちのバンドにしかないもの、をこのツアーで実感したに違いない。そしてその中でも、カミナリグモは圧倒的な存在感を見せていた。6月にミニアルバム『SCRAP SHORT SUMMER』をリリースしたばかりの二人。サポートに鈴木淳(ベース/the pillowsサポート)と森 信行(ドラム/exくるり)を迎え、レコーディングのメンバーそのままで臨んだライヴは、人懐っこいくせになかなかそれを表に出せない、彼らのゴツゴツして不器用な姿が生々しく映し出されていた。人間臭さが強烈に表れたいいステージだった。

そして山中のソロ。若手たちとは違って、肩の力が抜けた空気。マイクスタンド前に譜面台を置き、ソロの曲、the pillowsの曲を交えながら唄う。客席との空気が近い。さらに、この日参加しているバンドの曲をカヴァー。それは、それぞれのバンドが持つ、これから何か始まるんじゃないか、というドキドキとワクワクが綯い交ぜになったエネルギーを、さわお自身が感じようとしてるように思えた。それは今のさわおにはもうないものだったりする。でもそれを、俺はこんなふうに再現できるんだぜ、と見せつけているようにも思えた。
その後、さわおはカミナリグモのサポートで来ている淳と森を呼びこんで、〈YOUNGSTERじゃない〉トリオでビートルズのカヴァーを披露。そこにカミナリグモの上野を加えたバンドヴァージョンでソロ曲を2曲唄う。アンコールではthe pillowsの「Fool on the planet」を弾き語りで。〈時代が望んでも流されて唄ったりしないぜ 全てが変わっても僕は変わらない〉というフレーズは、この日出演したバンドへのメッセージになった。いいライヴだった。10月に出るという山中さわお名義のソロ第2弾が楽しみだ。(金光裕史)

SET LIST
LOVE LOVE LOVE
1.取り残された日曜日
2.夏音色
3.タシカなカタチ
4.サイダー(Dancing version)
5.旅に出よう

シュリスペイロフ
1.ドア
2.消失点
3.空白に向かっていくよ
4.すべて
5.夢うつつ

カミナリグモ
1.こわくない
2.サワー
3.SCRAP SHORT SUMMER
4.Maybe Lovesong
5.王様のミサイル
6.20 号

YAMANAKA SAWAO
1. Music Creature
2. Texan Daily Life
3. Birthday
4. レイニーデイ(LOVE LOVE LOVEカバー)
5. キミの気球(カミナリグモカバー)
6. レコード(シュリスペイロフカバー)
7. In my life
8. DAWN SPEECH
9. Silver moonlight
ENCORE
1. Fool on the planet

編集スタッフ

金光裕史

樋口靖幸

平林道子

竹内陽香

小高朋子