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東京国際映画祭『水の惑星 ウォーターライフ』

『水の惑星 ウォーターライフ』(原題:Water Life)
監督:ケヴィン・マクマホン/2009年製作/カナダ

本作は、アメリカとカナダの国境に位置する五大湖の “水” をテーマにしたドキュメンタリー。元ジャーナリストのケヴィン・マクマホン監督が魅せる、美しい川のせせらぎや神秘的な水中生物が動く映像のウラには、私たちの知らない事実が隠されている。

結論から言うと、地球上最後とされる新鮮な水の供給源こそがその五大湖で、そこがとんでもなく汚染されているという話。産業時代以降、ニョキニョキと頭角を現した工場地帯の多くは、何十年も前から有害な工業廃水を五大湖に垂れ流してきた。五大湖に直結する下水処理場も、たびたび処理 “前” のナマ汚水を “誤って” 湖に流し込んでいるとのこと。これがホントだとすれば、想像するだけでゾッとする。

汚染は工業廃棄物に留まらない。本作最大の衝撃は、水道水を巡る一説だ。アメリカやカナダの水道水を分析する調査団体によると、私たち人間が現代社会において使うあらゆる薬品が水道水に流れ込んでいるとのこと。石けんや香水、洗剤はもちろん、抗がん剤や糖尿病の薬、利尿剤、さらには抗うつ剤など、ありとあらゆる薬品が飲み水に混合しているらしい。多くの場合、その原因は汚水垂れ流しが原因だ。体内から我々が排出した薬品物は汚水として流され、下水処理場まで辿り着かずにそのまま湖へと到達してしまったり、処理場で処理しきれず残留したものが再び “キレイな” 水道水の中に混じる。彼ら曰く、近年の自閉症、ガン、高血圧、ホルモン異常による病気などの急増は、水道水に混合した化学物質の蓄積によって引き起こされているとのこと。しかも水は肌から直接体内に浸透するため、例えばシャワーを浴びるだけでも体内汚染は始まっていると言えよう。

こんな生物学的ホラーな内容でも、マクマホン監督はあくまで水の美しさに焦点を当て、心打たれる映像美を繰り広げる。とは言え、さすがに最後の水道水汚染の話までくると、何度もリピートされる “スローモーションで水しぶきを浴びる子供たち” の映像が、なにか想像を絶する未来への予凶のようで恐ろしい。上映後に一瞬だけだが、“今後はミネラルウォーターで風呂を炊こう……” などと思ってしまった私。いくら本作がアメリカは五大湖でのピンポイントな話とは言え、私たち日本人もただ事ではない。なにせ、本作のナレーションが繰り返し囁いていた通り、「地球上の水は限りなく巡回する」のだから。(LEONA)

東京国際映画祭|水の惑星 ウォーターライフ
http://www.tiff-jp.net/ja/lineup/works.php?id=191